認知症の方の相続放棄
1 認知症の方が相続放棄をするためには成年後見人が必要 2 成年後見人が認知症の相続人の方に代わって相続放棄をする流れ 3 ご家族の方が成年後見人になる場合の注意点 4 相続放棄の期間内に成年後見人の選出ができない場合
1 認知症の方が相続放棄をするためには成年後見人が必要
近年では高寿命化が進み、相続開始時点において、相続人の方もかなり高齢になっているというケースも珍しくありません。
相続人の方において相続放棄をするべき状況であっても、認知症を患っていて、物事の判断が困難になってしまっているという場合、成年後見人を選任しないと相続放棄をすることはできません。
たとえ相続人の方のご家族であっても、成年後見人でなければ認知症の相続人に代わって相続放棄をすることはできません。
以下、成年後見人が認知症の相続人の方に代わって相続放棄をする流れ、ご家族の方が成年後見人になる場合の注意点、相続放棄の期間内に成年後見人の選出ができない場合について説明します。
2 成年後見人が認知症の相続人の方に代わって相続放棄をする流れ
成年後見人は、認知症の相続人の法定代理人として、家庭裁判所に対して相続放棄の申述をすることができます。
家庭裁判所が公開している相続放棄申述書のフォーマットには、法定代理人を記載する欄も設けられています。
参考リンク:裁判所(相続の放棄の申述書(成年))
ただし、成年後見人には、認知症の相続人の財産を管理する義務があります。
相続放棄をすると相続財産を取得することができなくなりますので、相続放棄をすることが認知症の相続人にとって経済的に有利であることを示す必要があります。
例えば、被相続人の財産と借金の状況がわかる資料を用いて、財産よりも借金の方が多い(債務超過の状況にある)ことを説明します。
3 ご家族の方が成年後見人になる場合の注意点
認知症の相続人のご家族の方が成年後見人になる場合、利益相反に注意する必要があります。
認知症の相続人が相続放棄をすると、相続財産の取り分が増えてしまうという方が成年後見人である場合には、認知症の相続人の代理をすることができません。
このような場合には、成年後見監督人が選任されていれば成年後見監督人が認知症の相続人の代理をし、成年後見監督人が選任されていない場合には別途特別代理人を選任することになります。
4 相続放棄の期間内に成年後見人の選出ができない場合
結論から申し上げますと、成年後見人が選任されてから3か月以内に、認知症の相続人の相続放棄をすれば問題ありません。
成年後見人を選任手続きには通常数か月を要しますので、相続が開始してから成年後見人の選任手続きをしても、相続放棄の期限である相続の開始を知った日から3か月以内に成年後見人を選任することは困難です。
認知症の相続人は、相続の開始自体を認識することができない可能性がありますので、ご自身で相続放棄をすることはできません。
それにもかかわらず、相続の開始を知った日から3か月以内に相続放棄をしなければならないとしたら、認知症の相続人にとって酷な結果となります。
そこで、成年後見人が選任されてから3か月以内に相続放棄をすればよいとされています。



























